かの人                     2005.12.23














なにが こんなにつらいのか



              恋ごころ









その人を想う









動きさえ 止めてしまう こころの動き



その人の仕草














その人が振り返る


















バス停で





芝生の上で





噴水のそばで











その人の面影が ふいに浮かぶ















こころは つらいのか

求めても 求めても まだ求め足りない





こころは くるしいのか

思っても 思っても まだ何か忘れてる











歩いても その人が







立ち止まって空を見あげても その人が









空に





街に





空気の中にさえも









 その人が 描いてある


























想えば 想うほど

我がものになるものならば





どれほどでも 想うだろう






















想っても 想っても

まだ足りず








歩いても 歩いても

心に なにか かかえている





















冬の街は にぎやか



冬の空は もの言いたげ











冬の日は ひとり



ひとり陽だまりで もの憂う






























水底に身を投げた伝説の人は

ふかく ふかく 沈んでいって 龍宮にたどりつく



そこで幾百年








水の上の空をながめて

想い人を 想い続ける













その人は いまだに

この自分を

忘れてはいないだろうか
































水底にいるのは じぶん





想うのは その人





















忘れていた昔が よみがえる












あの日の急ぎ足


あのときの 胸の高鳴り





















あれからの 自分

























はじめて出会った人のように

















生まれて最初に見たものが  愛












愛するために 生まれて

















愛を 求めて


愛を 与えたくて














どんな規則も


どんな慣習も



どんな約束事も










メロディーを止められない


















長い間




水底から見あげていた 月







太陽



風のささやき
















誰かと誰かの 

ひそやかな わらい声



























生きることは 誰が決めたのだろう













太陽の光と


わらいを含んだ瞳の輝き









求めて






求めて








手を伸ばして









求めて














こころは どこにある



    『昨日』に 置いてきた 









心を取り戻しに









今を 生きるために




















自分を取り戻し




自分を引き寄せ











自分が自分自身になるために

































愛を遠巻きに

 どんなに詳細に観察しても

  なにも分からない









  それでは愛に

  身を投げて

  































ふたたび生きるために






































この世界の空気を吸って































愛を初めから

なぞることはできなくても












愛を初めから

与え続けることは できるだろう














悔いのないように






















ふたたび会えない日々が

訪れても










もう 水底には逃げ込まない










もう 沈んでしまわない












もう 心を眠らせたりしない



















愛するために 生まれてきた


愛を呼吸するために 生まれてきた
















求めても

求めても




届かなくても










その人が

思い出すこともなく



通り過ぎていってしまうとしても













愛するため






愛を大空に

 高らかに謳(うた)うため













いま、冬の街に