夜明け                          2006.2.9












思い出せそうで

思い出せない

もどかしさ













いつか 分かるだろうか

ここに自分が

生きていたと














空にそびえたつ山の威容









果てしなく広がる

大地の その向こう








かすかな潮騒の音が

 昼も 夜も 朝も   霧の中も


心に 流れ込んでくる














この顔の向こうに

どんな顔がかくされていたのか




遠い記憶が 夢の中をよぎってゆく

















駆け抜ける馬の蹄の音

  風




冷たい水と 空













そこで 誰と出会い





愛しあっていたのか













   あの人と思いたい








  とおいとおい過去から

   つながっていたと

    誰か教えて





















夕焼けの朱(あか)

建物や人を照らす






これと同じ陽が

歴史の空の中に立ちすくむ私を

照らしていたのか














思い出せそうで

思い出せない

 茜色の空













息をひそめて

じっと思いをこらせば



やがて訪れる闇













こころを解き放ち

夢の中にすべりだせば

そこには








聞きたかった答えではなく





忘れていた昔が






なお さらに



謎を投げかける



















言葉 声 まなざし


すべては 意味もなく並べられ





心かき乱され

惹かれ

 魅かれて



狂おしく













夢はあくまで夢で

現実の海にただよえば



夢の色が映り込む










夢の中の声



ここで出会った

      その声














自分の瞳が

なにを物語っていたのか

  自分の目にはみえない




自分の声が

どんなふうに響いたのか

  自分の耳にはわからない














自分の意識が

宇宙のただなかにあって

この世界の中で戸惑っていても



他の誰が

同じじゃないと言えるだろう
















白いトルソーの瞳の無い無表情













いくつもの昔が交錯し

交じり合って

いまを織り成す




いま

ここに

あるのは その人のこころ

























思い出せそうで

思い出せない












なつかしくて

うれしくて







かなしくて

忘れたくなかったのに












いつのまにか

忘れてしまった



昨日の夢

































この世界に

 風にふかれて

さまよいつづけていても





いつかは たどりつく

夢で見た王国に
















きらびやかな愛情と





やわらかな寝床











永遠に待ち続けてくれた

その魂と




 出会う
























たがいに知っていたと

その瞳は語り





言葉にはできない

この心の震えが

それに応えるだろう













氷にも似た

しろい光の中で







降りつづける

白い幸せの 花の雨














たどりつく

 あなたへ