慟哭    2002.12.26 


老人が、

中学生の男の子を

氣功施術してくれと連れて来た

 

 

突然記憶が無くなったり、

てんかんの発作のようなものを起こすのだと言う

 

原因不明

 

 

その子の母親は、

まだ赤ん坊だったころ

その子を置いて出て行ったのだと言う

 

だから不憫でたまらない、

この子は自分が育てたから

可愛くてたまらない、

よろしくお願いします、

 

そう言って、

その子の祖母は部屋を出て行った

 

 

いつものように

うつぶせになってもらって

その子の背中に手を置いて

何気なく、その子の母親はどう思っているのだろう?と考えた

 

 

 

いきなり体を乗っ取られた!

 

 

そうとしか言いようがない

 

慟哭のような思いが

胸の奥から激しく突き上げてくる

 

 

こみ上げてくる激しい思い

 

私自身はちっとも悲しくなんか無いし、

平静そのものなのに

 

「あぁ!やっと会えたね!」

 

言葉に出来ぬほど

愛しい思いがあふれ出てきて

同時に

涙がどっと出てきた

 

 

おぃおぃ、嘘だろ〜

  ・・私はちっとも哀しくなんかないってば!!

 

 

この子のことは、

一夜として忘れたことはなく

 

どんなに

張り裂けんばかりの思いで

この子のことを思い続けてきたか・・・

 

・・・こんなに大きくなって!!

 

 

私は私でありながら、

同時にその子の母親の感情を味わっている

 

 

あまりの激しい感情に

涙が込み上げてきて

泣きたくないのに

泣かずにいられない・・・

 

 

その子は

うつ伏せで背中を向けているので

何も気づいてはいない

 

 

ようようのことで、

感情をなんとか押さえ込んで

振り絞るように声を出した

 

 

「あなたのお母さんは、生きているの?」

 

 

生きているのは分っている

 

これは「生霊(いきりょう)」に違いない! 

 

 

そんな気がする

 

「分りません・・・」

 

 

きっと

変なことを聞くやつだと

思っているんだろうな

 

 

「あなたのお母さんは・・・」

 

涙で声が

震えるのを必死に押さえる

 

「・・・きっとあなたのことを・・・すごく愛していたのね。」

 

 

その子は黙っていた

 

 

気を取り直して、

そのあとは無言で

ようやくいつもの氣功施術を終えた

 

 

そのあと私は、

肉体的にも

精神的にも

どっと疲れが出た

 

 

そりゃそうだ、

自分の意思に関係なく

他人の激しい感情を体験してしまったのだから・・・(--;) 

 

 

あとで、そ

の子のご近所の方から

「その後」を聞く機会があった

 

 

その子は、そんな風だったので

学校の成績も振るわず

高校を受験するどころか、

特殊学級に入れようかというくらいの話だったらしいが

急に成績が上がりだし、

近くの進学高校へ入学できたのだと言う

 

 

記憶が無くなったり、

急に倒れたりすることも無くなり

おとなしくて友達も出来なかったのが

友達も出来、

近所の人にも積極的に挨拶するようになったのだそうだ

 

 

そして、

隣町に住んでいた母親に会ったのだそうだ!

 

 

今でも時折りは

父親も交えて、

 

祖母に内緒で

会いに行っているらしい・・・