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恋ひ恋ひて

逢へる時だに

愛(うつく)しき

言(こと)尽くしてよ

長くと思わば

 

 

黒髪に

白髪 (しろかみ) 交じり

老ゆるまで

かかる恋には

いまだ逢はなくに

 

  <大伴坂上郎女おおとものさかのうえのいらつめ

 

 


恋の始まりは いつも

ある種の熱が そこにはある

 

いきなり激しく燃え上がる情熱もあれば

押さえつつ 育んでゆく恋もある

 

 

恋は 若い頃だけのものではない

年を重ねれば 重ねたなりの 恋の形がある

 

 

 

誰もが 恋を【迂回】して 通り過ぎることはできない

 

 

 

 

恋は

始まるときは 情熱に満たされ 希望に満ちたものであっても

時間が流れるにつれ

ふたりの歩幅の違いから

片方にとって苦しいものに変わったり することもある

 

 

うまく互いの違いを認めあうことができれば

それは ふたりにとって 安らぎに満ちたものになる

 

 

 

思はぬに

妹が笑まひを

夢に見て

心の内に

燃えつつそ居る

 

 

相見ては

幾日も経ぬを

ここだくも

狂ひに狂ひ

思ほゆるかも

 

 

朝に日に

見まく欲りする

その玉を

いかにせばかも

手ゆ離れずあらむ

 

大伴家持(おおとものやかもち)

 

 

 

恋をすると 多くのものを望みたくなる

 

ふだん無欲の人であっても

あの人の視線

あの人の声

あの人のほほ笑み

あの人の『愛情』

自分にだけ   自分に向かってだけ    欲しくなる

 

それは 恋の始まりだけに かぎらない

恋が終わろうとしていることに 気づいた時も また

わすれかけていた 望みが ふつふつとわいてくる

 

 

なぜにこう 独占欲が強くなるのかと思うが

多分 人類の本能なのだろう

 

強い人もいれば

はたから見て ほとんど独占欲が見えないような人もいる

 

どちらにしろ 独占欲>嫉妬の感情に苦しんだことの無い人はいない

 

 

 

我も思ふ

人もな忘れ

なほなわに

浦吹く風の

止む時なかれ

笠女郎(かさのいらつめ)

 

 

恋は

より多く与えた方が 多くのものを得る

 

もっと もっと と 相手に対する要求ばかりに 目がくらんで

自分自身を与えなかった方は 恋の貧乏人に なりさがる

 

いつでも足りない いつでも もっと欲しい

与えることを忘れてしまえば

恋は 手の届かぬところへ去っていってしまう

 

与えることをせず すがることを 与えることだと思い込むと

相手は重くなって 振り払いたくなる

 

うなずくことが 与えることではなく

合わせることが 信じることでもない

 

ただ

自分自身でいればいい

 

相手の色に染まることなく

自分の色に染めることなく

 

混ざり合って 溶け合えばいい

 

 

 

 

愛の言葉を 誰でも欲しがるけれど

愛の言葉を 与えることは 惜しむ

 

ありがとうの言葉は口に出せても

愛の言葉は そうやすやすと 人に与えられない

 

誤解されたくないと 人に対して 塀を立て

塀を乗り越えてきて欲しいと ある人に向かっては 思う

 

 

 

愛し 愛されることは

どんな時でも 美しい

 

 

 

恋は奪い 愛は与える と言えるかも知れない

 

 

いつでも 胸がドキドキ ワクワク するわけじゃない

静かな情熱もある

 

 

いつでも 受け入れてくれる人がある 幸せを

充分に享受した人は

どんな人よりも富んでいる

 

 

信頼に応える 誠実を

誠実に応える 愛情を

愛情に対する 深い感謝を

手にした人は 幸せに満ちた時間を ゆっくりと過ごす

 

 

自分が 本当に自分自身でいることが出来る人のそばには

必ず愛の存在がある

 

 

恋の日々は 楽しく うつくしい

 

愛は 時には恋に変わり

恋は ゆっくりと愛に変わる

 

 

 

次から次への 移り気な恋は

実の無い花が ゆっくりと枯れてゆくように

人生の上っ面を 一見はなやかに通り過ぎてゆく

 

 

種を残す花は 土になり 緑の芽となって

さまざまに変化しながら 

太陽の光を浴び 人に愛でられながら

ゆっくりと育ってゆく

 

 

 

恋をすると魂が光り輝き

愛されると ますます美しさを増す

 

 

恋の輝きが曇らないように

 

 

愛がいつでもここにあるように

 

 

自分がいつでも少し背伸びしているように

 

 

いつも自分にスポットライトを浴びせよう

 

 

 

 

2004.3.18