夢のようにささやいて

 

 

 

 

あるひとりの顔を思い浮かべる

 

それは

特別な人

 

自分の人生に 『約束された』人

 

その人の心は

いつも こちらに向いていて

どんなことがあろうとも

変わらぬ心で 見つめ続けてくれている

 

 

時が流れても

どんなに離れていても

 

 

 

 

 

その人に出会ったときには

手に入れたいと

魂の奥底から望み

 

あこがれに似た どうしようもない力で

惹き寄せられてゆく

 

 

 

初めから 『約束されて』いるのに

まるで

生まれて初めて

歩き始めるみたいに

まるで

真の暗闇の中を

手探りで進んでゆくように

 

 

次の瞬間すら

予想もつかず

心が ひっくり返りそうな

大波に 翻弄されながら

宇宙の海に迷っている

 

 

 

 

人は変わる

 

時と共に変わる

 

 

それでも

その人の心に深く流れる川は

悠久の時を流れる銀河のように

いつもしずかに輝いている

 

 

 

人は迷う

 

どこかで

本当はわかっているはずなのに

 

 

人は迷う

 

 

生身の心を持つからこそ

心は さまよい

うたがい

 

 

愛に飢えて

宇宙の果てに向かって叫びたくなる

 

 

 

 

 

その人の ほほ笑みに会えば

雲散霧消(うんさんむしょう)

ただ、愛に浸(ひた)り、

夢のように幸福な時間を過ごすとしても。

 

 

 

 

 

幸福に翳(かげ)りをさすのは

自分自身。

 

 

 

 

その人の心は

夢のようにささやき続ける

いつも いつも そばにいるよ

 

 

 

聞こえているのだけれど

聞こえてこない

 

 

 

宇宙全体を揺るがすような声で

 

いつも いつも そばにいるよ

 

 

 

飢えている

 

実際に声に出して

言って欲しい

 

 

実際に

何度も 何度も 聞かされたとしても

 

心の声が聞こえない者には

何万回ささやかれても 不安な気持ちがぬぐえない

 

 

 

分かっていても

もっと もっと と 埋めたくなる

 

何を埋めるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

愛は潮風

 

どこから来て

どこへ去ってゆくのか

 

 

 

 

永遠を約束するように

何度も

何度も繰り返す

 

 

 

時には風がピタッと止まって

愛が枯れてしまったかと思えるような時も

 

月が満天の夜空を渡ってゆき

太陽が海の色を染めて昇ってくるように

やめることがない

 

 

 

 

今、風は凪(なぎ)

 

 

 

 

 

 

耳を澄ましてみよう

 

 

 

その人の心が聞こえてくるように

 

自分という風が

   相手に届くように

 

 

 

 

 

 

 

2004.8.2