時空に ちぎれゆく心 

 

 

人生には 自分の意思では どうにもならないこともある

 

 

相手にも意思があり

自分とは 違うところを 見つめていることもある

 

 

同じ体温

同じ呼吸をしている 恋人も

 

歩いてきた道

育ってきた世界が違えば

息が寄り添うのは 人生が交差する一瞬かもしれない

 

 

 

深いところでつながっていた恋人のこころが

腕の中からするりと抜けて

いつのまにかはるか向こうを歩いている

 

ふたりのカタチをした鋳型に

むりに押し込めようとしても 魂は羽ばたいて飛んでいってしまう

 

 

 

 

 

愛の国では

 

魂の『違い』 それこそが

ふたりの愛の証

 

時に同じ呼吸

同じリズムで心臓が鼓動する

 

自分の持たぬものを

相手の瞳の中から むさぼり求め

自分を与え 相手を奪う

 

近づきすぎた魂は

どちらが自分で どちらが相手の呼吸だったのかさえ

溶けあって ひとつの体温になる

 

互いの魂に耳を傾け

その静寂に こころを澄ます

 

 

恋が愛に姿を変えて

信頼の衣を身にまとえば

遠い星のかなたでさえ

愛する人の姿が見える

 

 

日々の暮らしの中

雑踏に身を置き

 

なんの意味も無い会話のなかに

おだやかな愛をしのばせる

 

 

恋の初めのようには

愛の言葉は口をつかない

 

確かめ合わずとも

魂の奥底に深い思いが流れている

 

 

 

 

 

愛の国からこぼれ落ちて

愛を失った人は こころがちぎれる

 

 

全身が目に見えぬ何かに激突したように

形容できない『痛み』にとらわれる

 

血を流すこころには包帯を巻くことも出来ず

張り裂けるこころを なぐさめるすべはない

 

狂えるものならば

狂ってしまいたいほど こころは激しく叫んでいる

 

 

 

 

 

『愛』は 宝石

 

失って初めてわかる

 

 

 

ながい ながい 時がたって

ふたたび

愛に こころを ゆだねることができるまで

 

 

 

自分をだますのもいい

こころがこわれないように

 

 

 

 

2004.5.24