アル‐デンテ [ al dente]      

 

 

近所に 「アルデンテ」という名前の店がある

 

パスタは アルデンテどころか、

連れと顔を見合わせて、どうしたんだろう?というくらい

『うどん』みたいで、なげやりな味がした。

 

気がつくと、

注文を取りに来た無口な女性は

どうやら 白いコック帽をかぶった男性と夫婦のようだ。

 

何も言わず、

何も起こらないのに

 

そこには 『夫婦喧嘩』?の荒々しい空気が漂っていた。

 

店は 白くて可愛い 素敵な外観で

きっとふたりが始めたころは、夢も希望もあふれていたのだろう

 

いつも行く店でもないので 

たまたまケンカをした日に当たったのかも知れない。

 

場所が良いわけでもないのに、いつも何台か車が停まっているところをみると

普段はそれほど悪くもないのだろう

 

ふたりが仲良く幸せでいるときは、

どのくらい味が違うのか、知りたい気もしたが、

わざわざまずい料理を食べに行くことになる危険は大きい。(;^-^)

 

 

 

 

それとは別に

近くに、おいしいと評判の蕎麦屋があった

 

あまり蕎麦は好きな方ではなかったが、

そこの蕎麦を食べた時は、

けっこうなカルチャーショックだった。

 

鮮烈な、と、言うべきか・・・

 

なんとも表現しにくいような、

まっすぐに向かってくる強いエネルギーを感じた。

 

蕎麦を打つ人の、

気迫のこもった、なにかを感じ、

そばつゆも 蕎麦のゆで加減も 良かったが

何よりも、

その、渾身の魂を傾けたような、

蕎麦のエネルギーに圧倒された。

 

 

厨房にいる何人かいる中で、

意外なほど若い(一番若いのかも)無口な人が その店の主であり

その人の、仕草や、目線などの、ほとんど言葉に出さない指示で、

年配の人も混じった、厨房の人間たちが

音もなく、というわけないのに、そんな感じで

静かに動いている

 

夫婦仲は良く、

365日、一緒に居ても飽きない、そうだ。 (^^;))ごちそうさま

 

 

 

しばらくぶりで、その店に行った

 

蕎麦が、どこか違う・・・

 

あの、清冽な力が抜けたというか、

叩きつけるような力強さが

消えてしまったというか

 

そばつゆの配合も、

蕎麦のゆで加減も

一秒の狂いもなく、同じなのだろうと思う

 

新たなサービスも始めたらしい

 

しかし・・・

 

 

何が違うかと言えば

      『”氣”』が違うとしか言えない

 

 

気がつけば、奥さんの姿が見えない

そのあと、2回ほど行ったが、たまたまなのか、姿を見なかった

 

あれほど いつも駐車場に車が停まっていたというのに

その前を通るたび、 少なくなったなぁ・・・と思う。

 

人に聞いても

あそこは味が落ちた、と言う

 

行ってもなんだかつまらないので、

すっかり足が遠のいてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

飲食店が、

チェーン店を出し始めると、急に味が落ちると言われるのは

やはり【人間】が 鍵なのだろう。

 

 

 

 

 

 

誰でも、いつも同じ精神状態でいるのは難しい

 

 

自分は、感情を押し殺して、何気ない風を装ったつもりでも

『味』に それは現れる

 

 

飲食店に限らず

人は、感情は 【別物】と思っている節がある

 

 

 

ところが、

仕事を左右するのも、買い物をするのにも、

『感情』が 大きなファクターになる

 

 

学校の成績も、仕事の受注や評価も

実力オンリー、とはいかない

 

 

同じ実力の人間が並べば、

根性の悪い方の人間の肩を持つ人はいない

 

 

客が 負けろと当然のように言えば、カチンと来るし

感じの良い客には、言われなくても負けてしまう

 

 

独りで講演会に行って空いた席を探している時は

無意識に感じの良さそうな人の隣を探してしまう

 

 

映画のチケットが一枚余れば、

必ず、一番喜びそうな人にあげたくなる

 

 

 

 

口下手の人の語る言葉ほど、人に耳を傾けさせるものはない

一生懸命しゃべろうとする意欲が相手に伝わるから

人の心をつかんでしまう

 

 

 

 

 

そこに 『向かってゆこうとする力』がある限り

推進力は消えない

 

 

 

テクニックを覚え、熟達してもなお

情熱を失わない人は

そのように努力している

 

 

 

人は 目に見えないものに 左右される

 

家庭で

職場で

学校で

電車の中で

 

目に見えないものが

人生を左右する

 

 

 

 

静かにそこにいるだけで、人を安心させる人がいる

 

 

誰かの視線をとらえただけで

その日、一日中、幸せなときもある

 

小耳にはさんだ 何気ない会話が 心を揺さぶることもある

 

  

自分の『今日』は、ここにあるのだろうか

 

明日へ 明日へと 追いかければ 

『今日』が逃げる

 

 

つらい出来事が

足を前に進まなくさせることもある

 

苦しい思いで

食事が喉を通らなくなることもある

 

幸せが、

人を若くすることも

 

うれしさが、

はつらつとしたパワーを 感じさせることもある

 

 

人は迷う

人は願う

人は忘れて、笑うことが出来る

 

「気を取り直す」という言葉もある

 

人は

何度でも

やり直すことができる

 

やったことは、消しゴムで消せないけど

記憶の中で色あせることもある、塗り変わることもある

 

何度でも

同じことを繰り返すことも出来る

違う道を

探して歩き出すこともできる

 

 

風の中に立って

人は聞く

 

目に見えない

耳に聞こえない

嗅ぐことのできない

触れることのできない

 

人は 心を澄ます

 

風に吹かれて

人は立ち止まる

そして

ふたたび歩き出す

 

何度でも

 

何度でも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2004.8.24